
高齢になった親が年々わがままになってきた……



理由もわからないわがままが多くて、小さな子供みたいだし、接し方がわからない
本記事では、上記のようにお悩みの方に向け、高齢になった親がわがままを言う理由や原因を解説します。
- 高齢になった親がわがままを言う理由・原因
- 高齢になった親がわがままを言うことにって生じる問題
- 高齢になった親や祖父母のわがままに困ったときの対処法
高齢になった親が「わがままになった」と感じたことはありませんか?
以前は穏やかだったのに、口うるさくなったり、理不尽な要求を繰り返したりといった変化に悩んでしまう方は少なくありません。
高齢になった親がわがままになってしまう理由には、心身の衰えやもともとの性格などいくつか考えられます。
本人や家族にとって無理のない範囲で、わがままや原因そのものにアプローチしていくことが大切です。
本記事では、わがままな発言が気になるようになった親と関係を壊さず、無理なく見守っていくための方法を解説します。


高齢になった親がわがままを言う理由・原因
高齢の親がわがままになったように感じると「昔はこんなこと言わなかったのに……」と戸惑いやストレスを抱えてしまう方も多いのではないでしょうか。
高齢になった親がわがままを言うようになり理由は様々であり、以下のようなものが考えられます。
- 認知症などの病気や脳機能の衰えによるもの
- 元々の性格によるもの
- 寂しさや不安によるもの
- お互い環境が変わり考えが価値観が変わったことによるもの
それぞれ詳しく解説していきます。
認知症などの病気や脳機能の衰えによるもの
まず大きな原因のひとつに、加齢に伴う脳の働きの低下や、認知症などの疾患の影響が挙げられます。
特に、初期の認知症では「物忘れは自覚しているがうまくごまかそうとする」「自分の失敗を認めたくない」という気持ちが強くなり、周囲に対して怒りっぽくなったり、無理な要求を繰り返すようになったりします。



判断力や抑制力が低下することで、感情のコントロールが難しくなることもあるでしょう
このような変化に本人も戸惑っている可能性もあるので、まずは家族が理解し、心身の変化に寄り添うことが大切です。
元々の性格によるもの
一方で、加齢による変化とは関係なく、もともとの性格が強調されて「わがまま」に見えるケースもあります。
高齢になると、社会との接点が減り、自己中心的な言動が表面化しやすくなる傾向があるからです。



例えば、元々頑固だった人は、年を重ねてより意固地になりやすくなることもあります
また「自分のやり方が一番正しい」と思い込んでいた人は、子供世代のアドバイスに耳を貸さず、意見を押し付けてくることも珍しくありません。
このようなケースでは、もともとの性格に加えて、生活の自由や自立を守ろうとする気持ちが背景にあることも多々あります。



高齢になり環境や心身に変化があっても、1人の人間として大切にされることを理解してもらえると良いですね
寂しさや不安によるもの
高齢になってくると、配偶者との死別や身体の衰え、友人との別れなどは大きな喪失体験をすることもあります。
結果として、孤独感や将来への不安を抱えるようになり、「誰かに構ってほしい」「心配してほしい」という気持ちが、わがままな言動につながることがあります。
寂しさが引きこもりやうつ的な症状になることもありますが、一方で以下のように一見困ってしまう行動として現れることもあります。
- 何度も電話してくる自分の話ばかりする
- 子供に過剰に頼ろうとする



このような場合、完全に拒絶するのではなく、気持ちに寄り添いつつも、無理のない距離感での関わるようにしましょう
お互い環境が変わり考えや価値観が変わったことによるもの
子供が家庭を持ち、親とは別の生活を送るようになると、生活環境や価値観にズレが生まれてきます。
「今どきの常識」と「昔ながらの考え方」の違いから、ちょっとしたことで言い争いになったり、親の主張がわがままに感じられたりするのです。
例えば、以下のような言動は親の価値観の押しつけに感じられるかもしれません。
- そんなことにお金を使うの?
- もっと孫に○○させなさい
- 仕事ばっかりして家事育児を疎かにして
上記のような言動をされるとカチンときますが、本人に悪気があるわけではない場合もあるのです。



本人の気質で発言しているのではなく、世代間による違いもあると冷静に受け止めましょう
高齢になった親がわがままを言うことにって生じる問題
高齢になった親がわがままを言うようになると、以下のような問題が発生する可能性があります。
- 暴言や暴力がエスカレートする恐れがある
- 親子仲が悪くなり疎遠になる
- 子供世代や孫世代がわがままを負担に感じてしまう
それぞれ詳しく解説していきます。
暴言や暴力がエスカレートする恐れがある
最初は軽いわがままや不満だったとしても、本人の気分や体調、家族との対応のズレが重なることで、暴言や時には手を上げるような行為に発展するケースもあります。
特に、認知症の初期〜中期にかけては、怒りやすくなったり、疑い深くなったりするといった症状が見られることもあります。
本人としては「自分を大切に扱ってくれていない」「バカにされた」といった被害感情が強くなっており、それが攻撃的な言動として表れてしまうのです。
このような状況では、同居家族や介護者にとって大きな負担となるでしょう。



本格的にエスカレートする前に、かかりつけ医やケアマネジャーなどの専門家に相談することが大切です
親子仲が悪くなり疎遠になる
長年積み重ねてきた信頼関係であっても、毎日のように無理な要求や理不尽な文句を言われ続けると、子供側も心がすり減ってしまうでしょう。
「何を言っても聞いてくれない」「毎回怒鳴られて疲れる」といった状態が続くと、親との関係を必要以上に避けるようになり、気づけば連絡を取る頻度も減ってしまうことがあります。



本来は「少しでも元気に暮らしてほしい」という気持ちで関わっていたはずなのに、これでは悲しいですよね……
親子であっても一度関係がこじれると、修復には時間と根気が必要になります。



早い段階で関係性を見直すこと、また必要に応じて家族以外のサポートを導入することも大切です
子供世代や孫世代がわがままを負担に感じてしまう
親のわがままは、子供世代だけでなく、そのパートナーや孫たちにも影響を与えます。
例えば、頻繁な呼び出しや過度な干渉、家族への批判などが続くと、家庭全体の空気が重くなり、孫たちも祖父母を疎ましくなるかもしれません。
また、共働き家庭や子育て中の世代にとっては、物理的にも時間的にも余裕がなく、親の要求に対応できないこともあるでしょう。
【体験談】高齢になった親や祖父母のわがままに困ったとき・対処法
私の親はまだまだ60代前半で高齢というには若すぎるかもしれないのですが、両親や義両親、祖父母の発言に困った経験も何度かあります。
- 新婚当初に義両親の干渉が気になった
- 実母の決めつけるような言動が気になるようになった
- 祖父母がテレビの出演者・内容に文句を言うのを聞きたくなかった
それぞれの経験とそのときにどうしたのかを詳しく紹介していきます。
新婚当初に義両親の干渉が気になった
新婚当初の話ですが、義両親の干渉が気になり、苦手に思ってしまうときがありました。
- 共働きで新生活にも慣れていないのに、月に1~2度呼び出してくる
- 帰省費用は私たちが負担(1回につき、数千円から1万円程度)
- 「〇〇だとおかしい」「〇〇しなさい」などの言動が気になった
私の両親は放任主義なので、義両親の干渉やアドバイスが余計に気になったのだと思います。



高齢になった親のわがままとは、少し違うかもしれませんが……
このままだと義両親との関係がこじれると思ったので、今では義両親の対応を夫に任せています。
また、私にとっては良い義両親ではなくても、夫にとって良い親であり、息子・娘にとって良い祖父母であれば良いと考えています。
実母の決めつけるような言動が気になるようになった
結婚し、両親と離れて暮らすようになってからは、実母の決めつけるような言動や、きつい言動が気になるようになりました。
母は大学卒業と共に父と結婚したので、いわゆる正社員としてのお勤め経験がありません。
専業主婦としてのこだわりも強く、自分は姑とも同居していたため、様々なアドバイスや決めつけをしてきます。
- もっと義両親と上手くやらないとだめだ
- 〇〇をしないなんておかしい
- 〇〇なんて子供がかわいそう
コロナ禍のときの自粛生活で私が子供と四六時中一緒にいることについて愚痴を言ってしまったとき、「そんな風に思うなんて母親としておかしい」と言われ、心を自然に閉ざしたような気がします。
今思うと、実母は私が学校生活で辛いことがあったときなども「もっと大変な人はいくらでもいる」「私は〇〇だった」というタイプです。



今では、母親とは楽しいときや向こうが困っているときだけ時間を共有すれば良いかなと思っています
実母とべったりで何でも言い合える人を羨ましく思うときもありますが、愚痴を言いたいときや困ったときは行政や医療機関のサポートを受けるようにしています。
祖父母がテレビの出演者・内容に文句を言うのを聞きたくなかった
私の祖父母の話ですが、高齢になるにつれてテレビの内容に文句を言うのが苦手だと思うようになりました。



一緒にテレビを観ても、楽しくないんですよね……
また、祖母については高齢になり認知能力が落ちてきたのか、テレビの内容をいまいち理解できず文句を言うこともありました。



私がおばあちゃんっ子だったこともあり、祖母が徐々に変わっていくのが嫌だったのだと思います
高齢になった親がわがままを言うときの対処法
高齢になった親がわがままを言うときには、本人にとっても家族にとっても無理のない範囲で、以下のように対処していくと良いでしょう。
- 高齢者の心身の変化を理解する
- 互いに信頼関係を築く
- 不満や愚痴はある程度聞き流す
- わがままを言う理由まで考えてみる
- 親に趣味や楽しみを見つけてもらう
- 介護サービスや医療機関を頼る
それぞれ詳しく解説していきます。
高齢者の心身の変化を理解する
大前提として、高齢者は加齢によって身体的にも精神的にも変化していくと理解しておきましょう。



親にしろ、祖父母にしろ、年々体調不良や話が通じないことが増えてきます
そして、子供や孫世代が意外と忘れてしまいがちなのが、高齢者本人も自分の変化を理解し、不安に思っているということです。



確かに、できていたことができなくなったり、自分の衰えを感じたりするのは怖いですよね……
体が思うように動かなくなったり、記憶や判断力が衰えたりすることで、自信を失い、イライラしやすくなったり、不安を口にする頻度が増えることもあるでしょう。
一見わがままと思う発言でも、背景に何があるか、心身に変化はないかを考えてみると良いでしょう。
互いに信頼関係を築く
一方的に言い分を押し通そうとする親に対して、つい反発したくなる気持ちは自然なものです。
しかし、感情をぶつけ合っても解決にはつながらないので、まずは話を聞く姿勢を持ちましょう。



「大切に思っている」という気持ちを伝えれば、親もわがままを抑えてくれることがあります
不満や愚痴はある程度聞き流す
高齢になると、どうしても「昔は良かった」「最近の若い人は……」といった愚痴が増える傾向があります。
真面目に受け止めすぎると、こちらが疲れてしまうため、時には「はいはい」と適度に受け流す姿勢も必要です。



相づちを打ったり、聞き流したりしながら、必要な部分だけを拾って対応することも検討しましょう
わがままを言う理由まで考えてみる
一見ただのわがままに見える発言にも、実は裏に理由や気持ちが隠れていることがあります。
例えば「もっと電話して」といったわがままは、高齢になった親の孤独感やさびしさによるものかもしれません。



要求の内容だけでなく、その背景にある感情に目を向けてみると、対応の仕方が変わってくることもあるでしょう
例えば、平日の電話は難しいけれど、週末にLINEやzoomでテレビ電話しようなどと提案できるかもしれません。


親に趣味や楽しみを見つけてもらう
わがままな言動の背景には、退屈や孤独感がある場合もあります。
そのようなケースでは、高齢になった親に新しい趣味や楽しみを見つけてもらうのも良いでしょう。
- 近所のサークル
- 習い事
- 地域の高齢者向けイベント
- ボランティア活動
- 家庭菜園など無理なくできる趣味



自分の世界が広がることで、必要以上に子供に依存したり、不満をぶつけたりする頻度も減らせます
介護サービスや医療機関を頼る
どうしても子供たちだけで対応が難しい場合やわがままに付き合いきれない場合には、無理をせず外部のサービスを活用しましょう。



過度なわがままは、認知症の症状のひとつかもしれません
例えば、認知症の症状がわがままの理由のひとつであれば、ケアマネジャーに相談すれば、訪問介護やデイサービスなどを提案してくれるでしょう。
また、認知症や精神的な不調が疑われる場合は、専門の医療機関に相談することも大切です。



専門家の介入があるだけで、家族だけではどうにもならなかった問題がスムーズに進むこともあります
高齢者のわがままについてよくある質問
最後に、高齢になった親のわがままについて、よくある質問を回答と共に紹介していきます。
- 高齢者がわがままになる原因は何ですか?
-
高齢者がわがままに見えるようになる原因は、大きく分けて以下の4つが考えられます。
- 認知症などの病気や脳機能の衰えによるもの
- 元々の性格によるもの
- 寂しさや不安によるもの
- お互い環境が変わり考えが価値観が変わったことによるもの
- 高齢になった親のわがままが増えてくるのは認知症の兆候ですか?
-
すべてのわがままが認知症の初期症状ではありませんが、以下のような傾向がある場合は、認知症の可能性を視野に入れても良いでしょう。
- 急に怒りっぽくなった
- 疑い深くなった
- 同じことを何度も言う、聞く
- できていた家事や日常動作がスムーズにできなくなってきた
- お金の管理が雑になった、無駄遣いが目立つ
- 理由もなく他人を責めるようになった
ただし、認知症かどうかは医師の診断が必要なため、不安なことがある場合はかかりつけ医などに相談してみることを強くおすすめします。
- 高齢になった親との連絡頻度はどれくらいが適切ですか?
-
親との関係性や兄弟姉妹の有無、どれくらい離れて住んでいるかによっても異なるため一概には言えませんが、以下のような基準をもとに適切な連絡頻度を見つけましょう。
- 無理なく継続できる頻度
- 親が安心できる頻度
【まとめ】わがままを聞き流す視点を持つと楽になりました
結婚してすぐや子供が生まれてすぐは、実両親・義両親共に親子の距離感をつかみにくく、会った後に疲れ果ててしまったり、言い争ったりしてしまうこともありました。
しかし、親子であっても完全に分かり合えるわけではないことや、私も親も環境や生活が変わっていくことを理解してからは、親に対して適度な距離感を持って接することができるようになりました。
距離感は物理的なものだけでなく、心理的な距離感も大切な気がします。
特に、私の場合、「母親と完全に分かり合うのは不可能」「楽しいときや側にいてあげたいときに無理なく関わればいいや」と思ってから、以前よりもスムーズに親とやり取り出来るようになった気がします。
私の両親、義両親は60代とまだ若いため、今後も連絡頻度や関わり方が変わってくるはずです。



そのときに合った頻度や方法で、親と無理なく付き合えれば良いなと思っています
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