高齢になった親が依存してくる原因と対処法｜どこまで対応すべき？

本記事では、上記のようにお悩みの方に向け、高齢になった親が依存してくる原因や対処法について解説します。

親が高齢になるにつれ、心身の衰えや生活環境の変化から、子供への依存が強まるケースは少なくありません。

「毎日のように電話がくる」「何でも自分に決めてほしいと言われる」──そんな状況に戸惑う人も多いでしょう。

親の希望をすべて叶えようとしたら、自分たちの生活が成り立たなくなると悩まれている方もいるのではないでしょうか。

結論としては、親の希望はすべて応える必要は必ずしもなく、親の不安を理解しながらも、無理のない距離感を保つことが、親子双方の幸せにつながります。

本記事では、高齢の親が依存してくる原因やトラブルの実例、適切な対処法を詳しく解説します。

高齢になった親が依存してくる原因

高齢になると心身の衰えにより孤独感が強まることもありますし、定年退職などの生活スタイルの変化により、子供に依存してしまうことがあります。

高齢になった親が子供に依存してしまう原因は、主に以下の通りです。

それぞれ詳しく解説していきます。

心身が衰え孤独感や不安感が強まる

年齢を重ねると、体の自由がきかなくなったり、物忘れが増えたりと、日常生活での不安が増していきます。

若い頃は当たり前にできていたことが難しくなることで、自信を失い、「誰かに頼りたい」「1人では不安」という気持ちが強まる場合もあります。

そんなとき、最も身近で信頼できる存在である子供に気持ちが向きやすくなるのです。

配偶者との死別や定年退職などで生活スタイルが変わる

長年連れ添った配偶者との死別や、定年退職は、人生や暮らしが大きく変わる出来事のひとつです。

特に男性の場合、仕事が生活の中心だった人も多く、退職後に人との関わりが激減してしまうことがあります。

また、女性も家事や子育てが終わると「自分の役割がなくなった」と感じやすく、寂しさや虚無感から子供に依存してしまうこともあるでしょう。

人間関係が固定化し「頼れるのは子供だけ」と思い込んでしまう

高齢になると、友人や近所づきあいが減り、次第に人間関係が固定化していきます。

特に、高齢夫婦世帯や一人暮らしの場合、他者との関わりが少なくなるため、「自分のことを気にかけてくれるのは子供だけ」という思い込みが強まるケースがあります。

一方で、子供側も「放っておけない」「自分が支えなければ」と感じてしまい、結果的に距離を取れなくなり、共依存のようになってしまうこともあるでしょう。

高齢になった親が子供に依存しているかのチェックリスト

高齢の親が「少し依存気味かも」と感じるときは、次のようなサインが複数当てはまらないか確認してみましょう。

このようなケースでは、高齢になった親が子供に依存気味であるといえます。

高齢になった親が子供に依存すると起きうるトラブル

高齢になった親が子供に依存するようにすると、親だけでなく子供にも問題が起きる恐れがあります。

具体的には、以下のようなトラブルに注意しなければなりません。

それぞれ詳しく解説していきます。

子供が疲れ切ってしまう

高齢の親が過度に依存してくると、子供は精神的にも肉体的にも疲弊してしまいます。

頻繁な電話や相談、感情的な訴えに対応し続けているうちに、自分の時間が削られ、常に気を張った状態になります。

特に、遠方に住んでいる場合、連絡のたびに不安が募り、気が休まらない状態に陥りやすいでしょう。

親子で共倒れになってしまう

親の依存に応え続けていると、子供側の生活や健康が崩れ、結果的に親子ともに支え合えなくなる「共倒れ」状態に陥ることもあります。

例えば、仕事の休みを削って実家に通ったり、夜中でも連絡に応じたりといった状態が続くと、子供が慢性的なストレスや疲労を抱え、うつ症状を引き起こすケースもあります。

家族や配偶者との関係性が悪化してしまう

親の依存が強くなると、子供の配偶者や家族との関係にも影響が出ます。

例えば、休日をすべて実家対応に使ったり、家庭内でも親の話題ばかりになったりすると、配偶者が疎外感や不満を覚えることがあります。

子供世帯の経済的な負担が重くなる

高齢になった親の依存の仕方によっては、子供世帯の経済的な負担が重くなる恐れもあります。

親が年金や貯蓄だけで生活できず、子供に仕送りや医療費の援助を求めるケースは少なくありません。

また、親が子供に直接的な経済的支援を求めていないにしても、子供が頻繁に実家に行き、親の世話をするようになると帰省費用などがかさんでしまいます。

親の自立機能が低下する

子供に頼りきりの生活が続くと、親の自立機能そのものが低下してしまう恐れがあります。

自分で考えたり判断したりする機会が減り、結果として判断力や行動力が衰えていくのです。

親が「何でも子供がやってくれるから」と行動を控えるようになると、生活の質そのものが下がり、閉じこもりやうつ状態に発展するケースもあります。

高齢になった親が子供に依存するときの対処法

高齢になった親が子供に依存するときには、無理のない範囲で親の居場所を増やしてあげる工夫が必要です。

具体的には、以下のような方法で対処すると良いでしょう。

それぞれ詳しく解説していきます。

「親が1人でもできた」という体験を増やす

依存傾向が強い親には、「できない」ことより「できた」体験を積ませることが効果的です。

例えば、たまにでも良いので買い物や通院などを付き添わずにやってもらい、終わった後に「付き添わなくても大丈夫だったね！」と言葉をかけるだけでも自信になります。

趣味サークルや習い事・ボランティアなどで地域の交流を増やす

地域のシニア向けサークルやカルチャーセンターの習い事、ボランティア活動など、外との接点を持つことで、気持ちの張りや生きがいが生まれます。

とはいえ、依存傾向のある親が1人で新しい場所に行くのは難しいので、最初は子供が一緒に見学へ行くなど、参加のハードルを下げる工夫も有効です。

自立度によっては地域のサポートやデイサービスを利用する

親が1人で過ごすことに不安を感じている場合は、地域包括支援センターやケアマネジャーに相談し、適切な支援を受けるのもひとつの方法です。

デイサービスを利用すれば、介護予防の運動やレクリエーションを通して人との交流が生まれます。

また、専門職による見守りがあることで、子ども側の安心感も高まるはずです。

見守りカメラや見守り家電を導入する

子供世帯が遠方に住んでいる場合、見守りカメラや見守り家電を導入することで、お互いに安心して過ごせる環境を整えられます。

例えば、カメラ越しに室内の様子を確認したり、冷蔵庫や電気ポットの使用状況をアプリでチェックしたりすることで、過干渉にならずにそっと見守れます。

LINEなどでテレビ通話する時間を決める

親からの連絡が頻繁すぎて疲れてしまうときは、コミュニケーションのルールを決めるのも有効です。

例えば、「毎晩のLINE通話を週2回にする」「毎週日曜の夜はテレビ電話で話す」など、あらかじめ決めておくことで親も安心できます。

かかりつけ医や専門家に相談する

依存が強まっている原因に、認知症やうつなどの心身の変化が隠れている場合には、かかりつけ医や地域包括支援センター、臨床心理士などの専門家に相談することを検討しましょう。

医療や福祉の専門家が入ることで、家族では見えなかった支援の方向性が見えてくることもあるからです。

高齢になった親が依存してくるときに子供が意識すべきこと

高齢になった親が依存してくる場合、子供はできるだけ対応しなければと思ってしまうことがあります。

しかし、子供も独立し、仕事や育児をしている以上、親のために使える時間やお金には限りがあります。

親が依存してきて少し負担だな、こんな風に思ってしまって罪悪感がある場合には、以下のような気持ちを持ちましょう。

それぞれ詳しく解説していきます。

親に対応しきれないと罪悪感を持つ必要はない

親が年を取り、頼られることが増えると、子供として「もっとしてあげるべきだった」と自分を責めてしまうことがあります。

もしかしたら、親をすでに亡くしている知り合いから「もっと〇〇してあげたかった」「してあげられるときに親孝行した方がよい」などとアドバイスをもらっている方もいるかもしれません。

しかし、すべての要求に応えようとすると、心身ともに疲弊してしまい、結果的に親との関係までぎくしゃくしてしまうこともあります。

親の依存の背景には、「子供に甘えたい気持ち」や「孤独を埋めたい想い」が含まれており、必ずしも子供の行動が原因ではありません。

対応できない日があっても、それは冷たいわけでも、親不孝でもありません。

「介護」と「依存」は別問題である

親の身体的なサポートや医療的ケアが必要になる「介護」と、精神的に頼りきってしまう「依存」は、本質的に異なる問題です。

介護には専門的な支援や制度が整っており、地域包括支援センターや介護サービスを利用すれば、子供の負担を減らせます。

一方、依存は「寂しさ」や「不安」など心理的な背景が強く、介護の延長線上で対応しても解決しません。

介護のように専門家の手を借りようとしても、親が反発し子供を頼り続けてしまうケースもあります。

自分たちが健康に幸せに暮らすことも親孝行である

多くの親は「子供に迷惑をかけたくない」という気持ちを持っています。

だからこそ、子供自身が健康で、穏やかに暮らしていることが、親にとって何よりの安心材料になるのです。

子供に依存してしまう親も、子供の生活をおびやかしてやろうとか、仕事や育児より自分を優先してほしいと思っていない場合もあります。

高齢になった親は視野が狭まってしまうこともありますし、仕事や育児は過去の話でどれだけ大変か記憶が薄れてしまうこともあります。

高齢になった親が依存してくるときによくある質問

最後に、高齢になった親が依存してくるときによくある質問について、回答と共に紹介していきます。

高齢の親に会う頻度はどれくらいが適切ですか？

親に会う頻度は、「親の生活環境」と「子供の負担度」のバランスで決めるのが理想です。

例えば、近距離であれば週に数回顔を出すこともできますが、遠方に住んでいる場合は月1回程度の訪問や長期休暇の帰省が限界な場合もあります。

重要なのは「頻度」よりも「安心感の質」です。会う回数が少なくても、定期的な連絡や見守りカメラの導入で、「気にかけている」ことが伝われば、親は安心してくれることもあるでしょう。

共依存になりやすい親子の特徴はありますか？

共依存とは、どちらかが相手を支えることで自分の存在価値を保とうとする関係を指します。

親子関係では、親が「あなたがいないと生きていけない」と依存し、子供が「自分が支えないと可哀そう」と思い込むケースが典型です。

特に、子供が責任感の強いタイプや、親が情緒的に不安定なタイプの場合、共依存に陥りやすい傾向があります。

依存心が強い高齢者への対処法はありますか？

依存心が強い親に対しては、感情的に反応するよりも、「安心感を与えつつ自立を促す」対応が効果的です。

例えば、「何かあったらすぐ駆けつける」ではなく、「困ったときはまず○○さん（ご近所・ヘルパー）に相談してね」と第三者を介した仕組みを作るのも良いでしょう。

また、寂しさや不安が背景にある場合は、親が居場所を見つけられる環境を整えることが重要です。

【まとめ】子供世帯が無理なく対応することが基本です

高齢の親の依存は、愛情や信頼の裏返しでもありますが、放置したり期待に応え続けたりしていると、親子ともに疲弊してしまうこともあるでしょう。

大切なことは、「支えすぎない勇気」を持ち、必要なサポートと自立のバランスを取ることです。

自分たちの家庭や仕事をまずは優先し、無理のない範囲で親の希望を叶えていきましょう。

また、親の希望を叶える際には、言葉通りに動くのではなく、根本的な原因にアプローチし、親が孤独感を持ちにくい仕組みつくりや環境作りをしていくことが重要です。

このブログでは、高齢になった親の暮らしを支える方法やおすすめグッズを紹介しています。